当社は、三井化学株式会社(注1、以下 三井化学)、丸喜産業株式会社(注2、以下 丸喜産業)、日本電気株式会社(注3、以下 NEC)の3社と、AIにより材料開発を効率化するマテリアルズ・インフォマティクス(Materials Informatics、以下 MI)技術を活用して、再生プラスチックの品質安定化と製造工程の大幅な効率化に向けた協業を開始します。

4社の取り組み概要
環境汚染や自然破壊の一因となっている廃プラスチックの削減に向けて、様々な取り組みが世界中で行われています。日本では国の方針によりプラスチックの3Rや適正な処理が進められていますが、依然として大半は焼却・埋立てにより処分されており、廃プラスチックを新たな製品の材料として再利用する取り組みを加速することが、持続可能な社会の実現のためには重要です(注4)。
一方で再生プラスチックの製造においては、利用できる廃プラスチックの量や質が日々変動するため、粘度や強度など求められる物性を実現するために用いる添加剤の種類や量を都度調整する必要があります。その中でも、粘度を均一化するにはベテラン作業者の経験やノウハウをもとに材料の配合を決定し、専用の装置で混ぜ合わせて粒の大きさを揃えて(タンブリング工程、注5)から製造する必要があり、品質の安定化と作業の効率化が求められています。
本協業では、当社と三井化学が開発し、本年10月より当社が製造・販売を開始した、再生プラスチック製造中の粘度を計測し添加剤の投入量を調整することで均一化する技術(注6)を活用した押出機を用いて、丸喜産業の工場で得られた粘度のデータをNECのMI技術で分析します。これにより、再生プラスチックの製造に必要なすべての材料を、粘度を計測しながらリアルタイムで調整することが可能となり、品質の安定化を実現します。また、再生プラスチックを製造・利用する企業の品質安定化プロセスとして必要なタンブリング工程が不要となり、製造全体にかかる時間について従来比25%の削減を目指します。
本協業により4社は、再生プラスチックの製造工程そのものを変革し、品質の安定化や製造能力の拡大、作業効率の改善による製造現場の省力化を実現します。また、資源循環を促進し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
4社は今後、再生プラスチック製造における粘度制御を自動化・最適化するシステムの開発に向け本技術の実証を進め、早期の実用化を目指します。
なお、丸喜産業は本取り組みについて、本年10月7日(火)に東京ビッグサイトで開催されるJAPAN PACK 2025日本包装産業展(注7)のカンファレンスにて紹介予定です。
以上
(注1) 本社:東京都中央区、代表取締役社長:橋本 修
(注2) 本社:富山県高岡市、代表取締役社長:小薗 雄治
(注3) 本社:東京都港区、取締役 代表執行役社長 兼 CEO:森田 隆之
(注4) 一般社団法人プラスチック循環利用協会「廃プラスチックの総排出量・有効利用/未利用量・有効利用率の推移」https://www.pwmi.or.jp/column/column-2358/
(注5)タンブリング工程とは大きなドラムを回転させ、その中で樹脂や原料を撹拌・混合する工程です。フレコン全体のバラツキを少なくし、品質を均一化する目的で用いられます。
(注6)ニュースリリース(2025年5月13日)
当社と三井化学、不均一なリサイクルプラスチックの粘度を均一化する技術の共同開発に成功 | 萩原工業株式会社
三井化学と萩原工業、不均一なリサイクルプラスチックの粘度を均一化する技術の共同開発に成功
<本件に関するお問い合わせ先>
経営企画室
TEL:086-440-0860
URL:https://www.hagihara.co.jp/inquiry/